楽に獲ることだけを望むなら
導電性ラインの先に導電性のルアーをつけてヒット直後に通電すれば簡単だと言うことになりかねませんね(笑)。
まあそれは冗談としても・・

堅いボディーの長さにより牽引パワーのセンターからずれた位置から針を引くことは安全とは言えません。
100のパワーを持った魚を止めるにはストレートに引けば110のパワーで良いでしょう。

しかし梃子を介していると引き手が80のパワーで済んだとしてもフックには110をはるかに超えるピークパワーが掛りがちです。

パワーは瞬間でタックルを破壊し傷を破るので局部への瞬間ピークストレスを押さえ、
安定した牽引力を持続させることが大型を取り込む肝になるでしょう。


まず針やリングを延ばされないこと、傷を破られないこと。

大きく旋回する魚体に針を残し、アイだけを一方向に引かれたまま回転を受け続ける棒状のボディー。
一方向にしか回転しない魚に対し、掛り方によっては水面下でこのような引き合いが展開しているケースも多々あるでしょう。

遊泳回転の軸となり絞られてゆく細いシャンク。そこへの破壊に耐えようとするスプリット・リング。そして傷。
この水中の出来事はアングラーには感じられません。

しかしこれはタックルにとっても魚の傷にとっても過酷なものです。


ボーグルアーは回転ストレスをフック部に集中させずラインへのよれとして開放します。

餌釣りにおけるシングルフックとラインの関係と同じで
フックユニットが常に引き合いのパワーの芯に添うようにラインの延直線上にあるからです。


ラインは長さがありしなやかでよれを受容できるため仮に魚が100回転しても撚れによって切れることはないでしょう。
一方アイ固定系ルアー(通常ルアー)では棒状のボディーの先にある牽引点が牽引軸から離れやすいため傷口をダイレクトに引きにくくなります。

牽引軸からの距離とは梃子のスケールでもあります。

アングラーしか見ようとしないボディーはよじれや回転に追随したいフック部を孤立させてしまうのです。
もし周回する魚と同じように船で魚を文字通り追尾して回ればねじれは生ぜず単なる梃子のストレスに留まるでしょう。

しかし現実には引き合いはほぼ一方向から引くことになります。そこでは棒状のボディーの先のアイだけがアングラーの方向を指し続け
腹部のフックとリングはボディーと乖離するように魚に拘束され回転を受けることになりがちです。

そこで発生しているねじり梃子によって人知れずバラしが発生していると推測することは
必ずしも困難とはいえないでしょう。



ストラクチャー回避のためのライン放出は別として、
大型ターゲットを取り込むことは魚の芯を引き寄せること。

魚の泳力をしのぐために口にかんぬきを掛けても錠前にはその分のストレスが掛っています。
そうして棒状のルアーを咥えさせ魚にハンディーを与え、見かけ上アングラーが楽に感じたとしても

水面下では違うことが起こっているわけです。
小型魚ではそれでも良いでしょう。ただ本当の大物を掛けたときにはバラす確率が高まります。

何が来るか分からないソルトウォーターではフック部のねじりに強いボーグルアーを使用する意味があるのです。
それでも寄せられないとしたらアングラーが敗北したということになるのでしょう。


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