『 兎飛ぶ 海原愛し 崖へずり 』





ファ ル コ ン と の 遭 遇







季節は巡りミレニアムも2003年、アングラー諸兄は如何お過ごしでしょうか?

筆者はと言えば、自宅より片道170kmほど先の磯に住まう銀鱗の尻を追いかける週末アングリング病に苛まれて早15年、

脂肪が付き始めた身体に鞭を打って地磯巡業に励む今日この頃であります。



思い返せばこの間絶えずタクティクスやタックルの見直しを行ってきたのですが、ことモノに関しては、『実際に使って見ないと善し悪しは判断できぬ!』

をモットーに(懐の許す限り
<>)積極的にトライ&エラーを繰り返しています。


ウェアにせよリールにせよライフジャケットにせよ、

なかなか「これだ」というものに落ち着かず、昨今はロッドのカスタマイズにも手を染める始末。

一方、ルアーに関してはどういう訳か中々パイロットルアーが変わっていません。


これは磯巡業である程度使える製品種類がそもそも少ないことに加え、リールやロッドに比して頻繁なモデルチェンジがないこともあるでしょう。

しかし、やはり最大の要因としては銀鱗と巡りあう機会自体の少なさが、自分の経験値の範囲内での「過去実績ルアー」として固定観念化して、知らず知らずのうちに食わず嫌いになってしまうのではないかと考えております。


加えるに、固定ルーティン化されたパイロットルアー達ではあるものの、
装着フックだけは『バラシ回避』を目的として

[マスタッド→ガマカツ→カツイチ→餌針溶接フック→スティンガー]

というように変遷があり、

依然(数多くのバラシを経験しながら)試行錯誤が続いているのです。



まさにファルコンとはこんな背景で実際に遭遇することになったのです。


さて、去る睦月は下旬にファルコンによる実釣の機会に恵まれました。

エピソードレポートと言うには如何にも乱筆ですが、

率直な感想と共にここに記させて頂きます。




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2003年1月25日

【イグニッション】

日付が変わる頃、いつものようにタックルを車に詰め込んで深夜のドライブに突入するが、今ひとつ気分が高揚しない。

目的地では季節風が既に夜半前には止んでいる模様であり、朝マズメの方程式は早くも崩れかかっていたのだ。

…このまま突っ走るべきか、それとも引き返して少しは一般人らしい週末を過ごすべきか、

…頭の中で様々な誘惑が葛藤を始めていたが、高速道路を走り出すと程なくしてそんな悩みは覚醒し始めてくる。




慢性的な睡眠不足に加え、当日は一睡もできぬまま釣行に突入しているところに、真後ろで執拗に煽るクルマが容赦なく僕のマジモードにスイッチを入れてくれたおかげで一気に
Fun to Driveモードに。


…気が付くと記録的な速さで目的地に到着していたが、非日常の空間を埋め尽くす早朝の冷気と心拍数にも似た愛車のエギゾーストノートが絶妙なハーモニーを醸し出している。


いったい幾度こんな磯参りに臨んだであろう…。


不思議なことにいくら睡眠不足であっても、

どんなに連泊釣行で膝がガクガクしていても、

朝一の潮風を吸い込んだこの瞬間から狩人のDNAにスイッチが入るのか、

【エントリー】

さていよいよ磯行軍である。今回天候の読みはほぼ当たっていたようだ。

案の定、日の出を待たずして既に海は静けさを取り戻し、
いわゆるナギの様相を呈し始めている。

『勝負は朝マズメの一瞬のみ』意を決して身支度を整え、ヘッドライトを頼りに暗い道をトボトボ歩き始める。


いつも思うことだが、何度通っても暗い磯道歩きは気味が悪い。

筆者は特に霊感の強い人間ではないが、長いこと磯を駆け回っていれば誰しも嫌な思い出の一つや二つはあるはずだ。


大分前になるが、磯道の途上で用を足していた時に周囲を何匹かの野犬に取り囲まれたことがあったが、

一か八かでライターに火を付け、

体に身に付けていたライト類を一斉に灯してケダモノのような遠吠えを放ったところ、

群れが一目散に逃げて行ったので命拾いしたものだった。

無論磯釣りの第一の危険は波や岩からの滑落そして落石等であるが、

以外にも磯場へのアプローチの途中にも野生動物に遭遇することがあるので、常に全神経を集中しておこう。



ほどなくして磯場に出てみると、やはりウネリは大分落ちていて、

一定の「周期」による一連の波の打ち返しで何とかサラシが広がる程度。



既にライトを灯さなくとも薄ら明るくなってきたが、
ルアーを打ち込みたくなる衝動をグッとこらえ、
20-30分程は安全な高台でウネリの打ち寄せる方向を見定める。


自分の足場の安全を見極め、ランディングポイントを想定するのは言うまでもない。


(若い頃逸る気持ちを抑えきれずに闇雲に突撃し、大波にのまれて足を骨折したこともある。

命あるだけマシであったが、もう二度と這って車まで戻る苦痛は味わいたくはない(笑)。)


いくら海面にライトを照らさずに注意深く現場にアプローチしたとしても、

岩を掻くスパイクの音なども含め海中には何らかの「気配」が伝わっていると思われるため、

入魂の一投の前は少しでも「気配」を殺すように努めている。


竿先には
Falcon128 SB/Sky-passのレッドヘッドがセットされている。

【銀鱗との遭遇】

波の周期を読み、第一投。

飛距離・飛行姿勢ともに申し分無い。


狙った根の先へほぼ正確にプレゼンできた。


引き波を受けて泳ぐ
Falconの振動が手元に十分伝わってくる。

ファーストリトリーブに匹敵する抵抗を伴う引き波で姿勢を崩していない。

今日はレギュラーテーパーのロッドを使用していることもあり、

ロッドそのものが引き波抵抗をある程度吸収してくれることも考慮する必要があるが、

ファーストテーパーのロッドでの感触はどうなのか?



そんなことを考えながら、常にルアーが泳ぐようなスロー&ストップリトリーブを繰り返す内にルアーを足元よりピックアップ。



そして、第二投。今度は先程よりもよりタイトに根際を通すようにリトリーブ。

『ズドン!』


まさに矢のような勢いで銀鱗がFalconを襲った。

Falconでの初めてのヒットに戸惑いながらも、一呼吸おいてアワセを2度入れる。


ちなみに筆者は根擦れ強度に優れたナイロンラインを好んで使用しているが、
相手はラインテストの
3分の1強にセッティングされたドラグを振り切るように根の向こう側に回ろうとする。


筆者はファイティングもまだまだ未熟で、
過去冬場に幾度となく根にもって行かれてラインブレイクを喫しているので、
こんな時はとっさに左手でスプールを掴み、竿をためて強引に走りをとめようとする癖がある。


幸運にも魚の走る方向を変えることに成功した直後、
ウネリが打ち寄せ思ったよりも早く寄ってきてしまった。

しかもこれからいよいよランディングという時になって今までよりも大きなウネリが打ち寄せるようになった。


上げ潮が効き始めたためだろう。

だけど足下の岩に魚をズリ上げるには潮位が幾分足りない。

サラシの中の銀鱗の口元を見るとどうやら前後フック共にがっちり掛かっているようだ。

しかしここで悠長なことはしていられない。


フックユニットとリーダーの結節強度を信じて、
リーダーを掴んでまず魚を岩の角まで抜き上げ、
次いでセミロングギャフを口に打ってランディング完了。



すぐさま後方の高台まで駆け上がる。

長さの割りに体高のある銀鱗が足元に横たわる。


74cm 5.0kg
丁度のグッドコンディションの魚体に目を奪われる。

遊動フックについてはご覧の通り、

フロントが下顎の中にがっちりかかり、

リアフックが前鰓蓋骨を捉えることによりクリンチフッキングとなっている。
(クリンチフッキングは後に帰国子女であるDiceさんによってクラッチフッキングへと変更)


リアフックがやや伸びていたが、これはリーダーを掴んで抜き上げた際に変形したものと思われる。



その他形状記憶ワイヤー部分にも異常はなく、
まずは強度的には申し分ないとの印象を受けた次第。

また筆者はスナップ党なので今回は敢えてスナップに
Falconをセッティングしたが、

ルアーボディーも離脱しており特に支障はなかった。


中にはスナップ使用による障害例も報告されている模様だが、
これも自分で実際体験してみなければ分からないと思われるので、
今後も色々なシーンで
Falconをプレゼンしてみようと考えている次第です。

一方魚の方はと言えばかかりどころが悪く流血も見られ、
リリースは不能と判断しキープすることにした。

ちなみに筆者はオールリリース派ではなく、

食する分はキープしてそれ以上の釣果がある場合は極力速やかにリリースするようにしているが、


かくしてこの魚も頭から尻尾まで無駄にすることなく仲間内数名の胃袋の中に消えて行った。

DATA

Rod:       13ft

Reel:              Daiwa Tournament Force 3000

Line:              Varivas Extra Protect VEP 12lb

Leader:              Varivas VEP 30lb

Lure:              Falcon SB/Sky-pass Red Head

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以上、とりとめのない内容になってしまいましたが、乱筆ご容赦頂ければ幸いです。

まだ実績は銀鱗たった一匹のため、

Falcon
の真髄についてはこれから少しずつフィールドで勉強していきたいと思っています。

二宮さんの重心移動のシステムが世に放たれて10余年。

現在では重心移動システムはもはや常識に。

筆者個人としては「遊動フックユニット」の登場は、

まさにこれからのルアーの既成観念を打ち破る可能性を秘めたウェポンとして注目して行きたいと思います。


釣行&文章 by Dice






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