2007年5月24日  ボーグ・マン 釣行レポート


伊藤桂一さん  (新潟)

今朝もフォールエンドシルバーがやってくれました。

最近、深場での釣果が思わしくないので、思い切って夏場のポイント「瀬」に入ってみました。
ここは、急流の駆け上がりからドシャローにつながるポイントです。
使用したのはFalcon128 AquaShaft SB/Iron Solid フォールエンドシルバー

こいつを激流にキャストし、駆け上がりに差し掛かると底を「コツン」とノック。
ロッドを立てて激浅シャローの流れのヨレまで更に流す。
すると、「コトン」と控え目な当りにアワセを一発!!
ヒットーー!! しかもランカーかも〜〜

一気に流芯へ走り出す。
私も下流へダッシュする(笑
ドラグが久々に鳴り、重量感のあるエラ洗い「ドバッ ドバッ」
気持ちいぃ〜〜

流芯から外れたところでドラグを閉め、一気に寄せて無事ランディング成功。
今年初のランカーです。

88cm5.75k丸鱸

フロントフックは下顎へ、リアフックは外れていますが下顎外側にクラッチしていました。



Solidならではの激流にも負けない泳ぎと崩れないバランス、
ロッドワークで浮かせる事のできるフローティングボディ。
この場所にピッタリな機種でした。
先日、日本海へ旅立ったIronでは取れなかった1本かもしれません。


最近、魚とのやり取りが強引かつ短期決戦になってきました。
以前の自分が嘘のようです。
それでもランディング率100%は継続中です。



伊藤桂一 様

大型シーバスランおめでとうございます!
閃きのヒットですね。
これは最高のボーグフィッシングです。

今回はAquaShaft SB/Iron-Solidの潜在力を引き出してくれました。
ノーマルSB/IronとAquaShaft SB/Iron-Solidの差は僅かです。
しかしリップ角の僅かな違いや重心位置の違いは超高速域では少しですが差を生みます。
高速泳動性能がヒットの成否を左右するケースは少ないのですがアクア・シャフトではそれを追求しています。

非常にマニアックな世界です。
ノーマルのSB/Ironは既に完成された高速性能を体得していますから通常はノーマルSB/Ironを選択して頂ければ間違いないでしょう。
高いバイト誘発力、そしてもちろんクラッチフッキングによる高確率の魚体確保が可能です。

このような流れのポイントでは泳力の差を利用して大型シーバスはベイトとの間合いを詰め、捕食を決断してきます。
ターゲットを追撃態勢に誘い込めさえすれば水流の強いポイントではなるべくトゥイッチングを減らし、ルアー挙動を安定させたほうが良いと考える山本です。
というのも「追うターゲット、流れに捉まったベイト、」という構図ではターゲットの完全バイトを引き出しやすいからです。
なぜなら流れが強いとターゲットは追跡することにCPUパワーの大半を費すため、ベイトを吟味する割り当てが減り「パーフェクトな咬み」が得られやすくなるものと考えられるからです。特にシーバスはそうだと思います。
であるとすればボーグの挙動が安定していればフックは口に確実にセットされスレ掛かりが減り魚体へのダメージを最小限に留めながらクラッチ・ランできる確率が高まります。



少し話がそれますがボーグのフッキングが一部で論議されていますので少し書かせてください。

まず、ボーグの仕組みから見ますと遊動フックルアーは離脱した形状記憶合金のフックユニットで取り込むことにより、引き合いで魚体に加えられる力からボディーテコの大半をキャンセルします。
さらにそれを前後のフック2点に分散します。
その上で引き合いの力の一部を「前後フックで掴む力」に転嫁するため針は深く刺さりにくくなり、かつ捕獲力は維持され、魚体ダメージが少なくなると言えるのです。

視点を変えますと通常ルアーを10で引くとアングラーの力は魚体上のフックでは10以上になって作用しているケースが多いのです。
遊動フックルアーではそのテコ倍化作用が起こりにくいため10の力は10の引き寄せ力になると見なせます。
もう一度裏を返せば魚体のパワーがそのまま伝わってくるので魚が強くなったように感じるかもしれません。
しかし伸びやすいフックと破れやすい傷口という観点では5分と5分で引き合ったほうがランディング率は高まるでしょう。
なにより、リアルな魚を感じることができて感動があるのです。

ケケチさんの今回のヒットでも片方のフックがランした直後に外れたそうですが高いランディング率であるにも関わらずランディング後にフックが外れるケースがあるのはそのためです。
刺して獲るのではなく「つかんで獲る」のがボーグなのです。
昔ありましたよね、氷挟み、ぶら下げるだけで滑りやすい氷が簡単に掴めていましたよね。
雑に扱っているように見えましたが氷は割れたりしませんでした。
なのに下に置いた途端に氷は自由になっていました。
クラッチフッキングはそれなのです。

一方、通常ルアーでは原理的に引き合い力は分散されません。
さらにハードルアーは堅い棒と見なせますからボディーテコで倍化された力が固定された一つのフックに集中して加えられます。
従って通常ルアーでは「深い刺さり」が得られやすいものの「獲れる刺さり位置」は限定されやすくなりそこから少し位置がずれると傷は破壊されやすくなり、針も伸びやすくなります。
また刺さりやすい位置から少しずれると針が乗っていてもエラ洗いに非常に弱くなるのです。
通常ルアーでは刺さりやすい口角にフロントフックが入った場合にランディングされるケースが特異的に多いのはそのためです。

そのような引き合いや水中でのストラクチャーとのボディー激突により不幸にも最初のフッキング部位が破壊されれば残されていたフックにフルテンションが移動しそれぞれの傷が順次深く破壊されてしまうケースも起こりえるのです。
その結果バレてしまっても魚はいませんから釣り人はそのダメージの深さを知ることができません。

一方ボーグルアーはランディングされる確率が高いので多くのフッキング状態が確認されるのです。
このように通常ルアーでのバラシによる魚体の傷は魚が取り込めないために確認が困難ですがナチュラルリリースとは呼べないケースも多々あるでしょう。

また魚体ダメージ以上に深刻な問題がルアーにはあるのです。
これは業界でも滅多に触れられることがないのですが知っておくべき危険性です。
それは飛散したルアーの危険性です。
昨年夏のボートによるシイラ釣りではミヨシにいた市川さんの重量ポッパーがアワセた魚体から外れてオプセル社山本さんの頭部を直撃しました。
幸いにも山本さんは麦わら帽子を被っていたのでたんこぶができただけで事なきを得ました。
もしあのぶっ飛びボディーについた大きなフックが帽子に遮られずに首や頭部に当たっていたとしたら・・・怖いです。
あれは見えにくい位置からフルアワセで飛んできたので避けることは不可能でした。

この例では事なきをえたものの通常ルアーにおけるフックは重いボディーと一体になっているので至近距離で針が外れたときにはルアーが弾丸のように飛んできて周囲のアングラーは危険にさらされます。
一方ボーグルアーは取り込み中に万一フックが外れてもボディーが離脱しフックは約4グラムのユニットに軽量化されているので運悪く人に当たっても被害はより少なくて済むのです。

これからオプセル社は小型ミノーはもちろん大型ミノー、大型ポッパー、遊動メタルジグ、遊動バイブレーションなどの重いアイテムにシフトしてゆく予定ですがその危険回避性能は際立ってくるものと考えています。
プロほど語りませんが100グラムの鉛に縛ってあるフックが船べりの魚体から外れ至近距離からアングラーを直撃したらひとたまりもないはずです。
またクラッチフッキングはバーブレスフックでも高い捕獲力を発揮しますからシイラなどでもランディング率を大きく損なわずにアングラーは安全な釣りを楽しむことができます。
このようにボーグのフッキングは実は最小限のダメージ、危険度で働いていると言えるのです。



話を戻しましょう。
SB/Iron系ボーグによる早い流れの攻略が当たったといえますね。
画像拝見しますと安定したクラッチフッキングでした。
ケケチさんの「ランディング率100%継続中」は素晴らしいです。
ボーグルアーでの連続ランディングはしばしば体験される事なのですが取り込みにおけるケケチさんの動きも的確だったのではないでしょうか。
ランディングはアイデアと運動能力、そして危険回避決断の総合的なパフォーマンスです。
アングラーの皆さんは最高の想像力と警戒心を発揮し、成功を勝ち取って欲しいです。
ランカーを取り込むことはですから大きな誇りにつながるのでしょう。
一箇所でもミスすれば一気に過酷な取り込みになりますからね。
これからも細心に、かつ広い着想力でターゲットを取り込んでください。
本当におめでとうございます!

ボーグ山本より



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