オプセル
山本 様

 御無沙汰しています。 


9月も後半になり、ヒラスズキの状況を調査に行ったところ、転落事故を起し、運良く生還出来ました。 
恥ずかしい話ですが、私の失敗例が、皆様の安全釣行の参考になればと思い、報告します。


 昨年、秋のヒラシーズンを、爆釣でスタートさせた中通島の北東磯に、9/18 釣行。


予報は、波高2.5m,北東風 7mだったが、下降して、目的の磯までのトラバースは、歩行が困難な位の強風。15mを越えている感じだ。
強風の岬を回り込み、8am,目的の磯についた。


ここは、風が背後の断崖絶壁で遮られる為か、無風に近い。目の前の磯には、巨大な波が打付け、磯は狂乱状態だ。
釣りにならず、2時間、磯の大岩の天辺で、波を眺めて待機。満潮は、11am。 10am過ぎると、急に凪いで来た。


チャンス到来と、用心しながら、昨年の爆釣ポイントから、LB/SKYPASSを投げ始める。
荒れ過ぎていたせいか、全く、反応が無い。

奥のワンド側に移動し、スリットのサラシで、漸く、小型ヒラの反応有り。
2回バラシ、3回目に、最初の一尾を抜き上げ、確保。
1.45K。

その後、凪いできた磯で、彼方此方、試すが、反応が無し。
1pm頃、急に磯が荒れだし、後ろに下がって、沖の様子を伺う。

朝一の荒れ方に比べれば、大波の間隔は開いており、十分、釣りは可能と判断し、朝のヒラスズキをつり上げたスリットに戻る。


スリットに、4−5回、ルアーを通した時、突然、右横から、波で吹き飛ばされ、スリットに転落した。


海中に沈み、中々、浮き上がらない。

海水を飲まぬよう息を止め、掴んでいたロッドを放した。
波で揉まれたが、ヘルメットは被っていたので、頭は大丈夫だ。 

息が出来ず、とても長く感じたが、海中に沈んでいた時間は、10-20秒くらいか。
急に、明るくなったと思ったら、海面に顔が出て、息が出来た。

偶然、目の前に、スリット奥の岩棚が有り、必死に這い上がる。
次の大波が来ない内に、安全な場所まで走った。


助かったと安堵すると同時に、体の痛みに気づく。 
右ひざ外側、左前腕、右股関節に痛みが有る。 

右膝は、がくがくするのが、歩行は可能で有り、骨折は無いようだ。 
水温は、26℃で、寒くはないが、濡れたポリエステル下着を、振り回して水気を飛ばし、再度、着る。

1:50pm リュックを担いで、歩き出す。 痛みを堪えて必死に歩き、2:30pm 空港駐車場に戻る。



強風のアプローチ





今秋の初ヒラスズキ 1.45Kg





{事故の現場写真}

昨年(2014-09-26) の現場 適度に荒れ、サラシ十分で爆釣。


2015-09-18の転落事故現場  
写真(1) 黄色の位置で、下のサラシを狙っていた。





写真 (2)  
右側の凹部に集中した波が、横方向に吹き上げ、釣師(私)を叩き落とした。






 帰宅して、じっくり、今回の事故の原因と対策を考えているところです。

1]
事故の直接原因は、波の予測を誤った事。
2]
朝一の荒天時には、2時間も待機していながら、凪いで来た時点で、波に対する油断が生じた。
3]
午後、再度、荒れ出したのに気づきながらも、大した事は無い、と釣りを継続してしまった。 


この一瞬の判断の誤りで、危険な位置に立ち、バカ波に吹き飛ばされました。 


事故の根本原因は、釣りを中止する海象条件が、高過ぎた事。 
やはり、この潮流が波を増幅する場所で、波高予測2.5mは、危険。  
今後は、気象庁の波高予測以外に、磯の地形や潮流による波高の増幅も考えて、釣行の可否を決めないといけない。

 今回の事故現場は、潮流が早く、常時、潮波が発生している海域です。 
下げ潮、かつ、北東の風と波が一致すると、急に、3倍位の高波が発生します。


高波の周期は不定期で、予測が出来ません。 
こういった事は、過去、何十回も、この釣場に行って、十分、判っていた事ですが、やはり、油断が有りました。

ヒラスズキを釣り始めて18年、岩場の転落2回、落水2回を経験していましたが、今回の転落事故は、別格です。

死ななかったのが不思議な位。

近年、ヒラスズキの釣果も上がり、安全装備は充実しても、気がつかない内に、慢心が生じていたのは間違い有りません。 
ヒラスズキ道も武道と同じ。
 ”残心” (最後まで気を抜かない事、油断しない事)を肝に銘じて、安全釣行を行います。



 転落時に覗いた、ヒラスズキの住まい、暗く泡だらけで忘れられません。あんな所で生活していて、ボーグに食いついてくれた。 
尊敬します。

今回の転落事故で、 ロッド(ダイコー:デスパラード 1102MH)、ボーグルアー1個、リール 08SW ステラ 5000XG,度付きサングラス、がま玉網)等、
総額 30万円弱が 海に消え、高い授業料になりました。 

体の外傷は、1-2週間で回復の見込みです。


では、また。



                     [後日談]



近藤
9/19

オプセル
山本 様

 事故から2日過ぎ、負傷箇所の痛みが出て来ました。 

まあ、時間が経てば、この傷は癒えるので、家でゴロゴロしています。 

落水後、大波で、体の右側から磯に叩き付けられたみたいで、防水パンツの腰、右膝、右大腿部が、数ヶ所、裂けていました。 


幸い、着込んでいたので、衝撃は吸収され、内出血は有りません。
右膝は、内側じん帯が延びており、治るまで多少、時間がかかりそうですが、大丈夫です。


 今回の重大事故が、軽症で済んだのは、やはり、ライフジャケット、ヘルメット、ゴアテックス ハードセル 上下のお陰です。
落下時や、波で、岩に叩き付けられた衝撃を防いでくれました。 

フェイスブックは、私自身は使っていませんが、自由に載せて頂いて結構です。


では、また。



近藤
9/20