3月1日朝、rinyosiさんのネットのジョイント部が折損しました。



その修理の様子をご覧ください。


スネーク・スタビライザーは通常の接続に比べるとジョイント部に曲げフォースが発生しやすくなります。

そのため、ジョイント部の曲げに対する強化が必要になります。


ジョイント部を両側から包むように金属板で挟み、ステンレス針金をロールしています。



といいますのも
これは超有名メーカー○イ○さんの柄ですが(大型ターゲット用との?)、

通常販売されているネット柄のジョイント部は下の画像のように

ロッドの繊維部にそのままネジ受けを刻みこんで作られていたりします。


強度より滑り出しの良さとか見てくれ優先のものが多々見受けられるのです。

掛かってから(入れてから)のことは考えてくれていないように感じます。




魚体や網が水中でもまれる時の全加重を、

この薄くなった肉で受けるのですからひとたまりもありません。


「でかいのを入れてタモが壊れた!」

という武勇伝が

これによって量産されているとしたら残念ですよね。


金属の接続ターミナルをネジ山刻みで薄くなった樹脂のみで受けています。

ロッド強度を支える基礎となる繊維樹脂の本層に直接ネジ山を切るという・・(-_-;)。
残る肉厚は殆どわずか。こんなものはすぐに飛び散ります。

柄側の外径と、ネジ込むターミナル径が殆ど同じに見えますね。

これではまともにつながるはずがないので、別なターミナルを用意。

強度の基礎となるロッドの肉(繊維樹脂層)は絶対削りません。

柄よりも少しだけ細く接続部の内側にぴったりと入る別なカーボン芯を探し、

二つの部品を貫く基本軸として一体形成します。


カーボン軸を中心に二つの部品をエポキシと共に連結し固定します。



軸となるカーボン片にエポキシを塗布し、まずは金属ターミナルに挿入。


次に、カーボン片の残りシロを柄の本体側に挿入(エポキシ塗布)。



ややきつめですがエポキシで潤滑密着させながらズニュニュっと入れます(笑)。



完璧です。


そこでダイソーで入手しておいた厚いステンレスの柄がついたお玉登場(爆)!


このお玉にはロッドにちょうど添うような半円筒状のかなり強い錆びない柄がついています!

今回はこれを利用しました。
これを10センチ程度に2個に切断し、→カーボン切断機を使用

先ほどの強化部を両側から挟みます。

そしてステンレスワイヤーできつく、硬く、締め込みます。



それだけでかなり強さが出ます。

が、さらにエポキシをワイヤーもろともに含侵させ、強化を最強レベルに高めておきます。


これで完成です。



3万も4万もする柄ですからやっておいてもらいたいですよ。
肝心なときに緩い理由でバレたら辛いです。


曲げ強度は金属を添わせた方向がさらに強いのでスネーク・スタビライザーのしなりに対抗するセッティングもそれに合わせます。


10キロクラスのターゲットを入れることになるかもしれない60cm枠、70cm枠のタモ。

このくらいの強度があってもいいのではないでしょうか?

これにロープ武装したスネーク・スタビライザーを組み合わせれば、

現場で使えるタックルになろうかと考えます。


ベルトを解いて伸ばせばネット内にラフに収納されているロープが引き出されそのままスタンバイします。
この状態で携行すればよほど深いヤブ以外はさほど障害なくアクセスできます。
高場でかつ大型と出会う可能性があれば、持って行くのが自然でしょう。

ただジョイント部の強さが十分出たとしてもロッド本体には重さとの兼ね合いで仕方のない限界があります。
従ってロッドの途中が折れる可能性はありますから大胆に、かつ細心に操作して欲しいですね(^-^)v。

カギは魚を入れたら間髪入れずにロープを引くことです。
ロープはタモ枠の最も強い位置に結束されています。
この一点がターゲットを捉えることを可能にする最も強力な作用点です。

タモロッドそのものには大型ターゲットを差し上げ、抜き揚げる力は無いと言っていいのです。



タモの柄は「魚を枠に招き入れるためのもの」。
大型魚をいれたついでにそのまま棒で引き上げる事には無理があるのが現実だからです。

人命救助を棒で行うことはなく、必ずロープ操作で為されるように
大型ターゲットの確保はロープに加重を任せて行うべきなのです。


これまで書いてきましたように
通常ルアーに対するボーグルアーのように

入れる操作と揚げる操作をロッドのみで行う通常ネットに対して

スネーク・スタビライザーシステムは
入れるまでをロッド
入れてからはロープに切り替えて使用する
「遊動ネットシステム」と言えます。



ボーグ山本