「SB/Sky passの意外な高ヒット率を解析する」
06_5_16 オプセル
ファルコンには大きなリップのLB/系、スモール・リップのSB/系があります。
荒れ場での安定した中・高速リトリーブ、
そしてサラシ鉄甲弾としてクラス最高の飛距離に特化したSB/Sky pass。
その尖った性能ゆえにSB/Sky passは低速でのウォブリング性能がスポイルされていると思われていました。
そのことにより港湾のアングラーさんからはスローに難ありとのご指摘を頂くこともありました。
しかし超スロー対応機の多くは飛距離が不足しがちで、
なおかつ河川の流芯部や強いサラシ、サーフでの引き波ではフックをターゲットに向けて置けないほど反転してしまい
非常に使いにくくもあるわけです。
と申しますか、すべてのポイントに対応する理想のルアーは無いのかもしれませんね。
そう思い、山本は「鉄甲弾に特化したSB/Sky pass」として、あえてリリースさせて頂きました。
ところがこのSB/Sky passに思わぬ効果があるかもしれないという報告が相次いでいます。
SB/Sky passゆえに十分に泳いでいないと思われる状況で他機をしのぐヒットがよく観察されるのです。
山本、はた?と考えました・・・。
「常時ウォブリング性能=ミノー」 は必ずしも真ならず、かもと・・・。
スローでのSB/Sky passでは棒状に移動している瞬間がある、のですが
そのことが静と動のコントラストになり、リアクションバイトを引き出しているのではないかと・・・。
いや!、そのソリッド&ウォブ (直線化と振動) を往復する姿は
実はリアルベイトの動きそのものではないかと・・・。
イワシやキビナゴやサヨリの泳いでるところを下から映した映像を思い起こしてください。
彼らは常にウォブリングしてはいませんね。
キュルっと尾をふり、棒状に伸び、慣性で進んだ後、停止し体を縮め、
少し向きを変えながら再びキュルっと尾をふり移動している。
方向を変える時は、泳いでいる途中ではなく、「泳ぎ初め」ですね。
方向を変えて進んだ後は無駄の無い直線の流線型を保ち慣性移動していきます。
慣性による速度は水の抵抗で次第に落ちていきます。
そして、次の「尾を振ろうと体を縮める一瞬」ベイトは停止します。
方向を変え泳ぎだすエネルギーを蓄積するためでしょうか。
「その一瞬」こそ、ベイトは最大の危険にさらされると考えられますね。
言い換えればそれを再現すればそれで釣れると考えられますね。
アングラーの足元まで迷わせることなく
安定した位置で、フロントフックを噛ませられる位置で、
本気でヒットさせられる・・・と。
常に泳ぎ続ける超スロー対応系のルアーにはその「間」はありません。
ターゲットは迷い続け、追い続け、
ついには人の気配がする岸まで近づきます。
危険域への接近によってこらえ切れなくなったターゲットが
運良く決断してくれれば「スローで食わせた」となるのでしょう。
しかしそれは誤解である可能性もあるのです。
食わなければターゲットはアングラーの気配を間近で察知し
そのままスレて二度と戻りません。
「設計者として」
設計者として当然山本はファルコンSB/Sky passの低速特性はよく把握しています。
それでもSB/Sky passはより遠くに飛ばしたい、
風波のサラシで軽快に使いたいと思いました。
他の例ですが高速車のクラッチは重いとか、
高速車は低速での応答が悪いとか、
車でも全域で最高はあまりないのですね。
ところが、
期せずして、SB/Sky passのロウギアは
リアルベイトの静と動の往復を再現していました。
他の通常ルアーにほとんど見られないソリッド&ウォブという新しい特性。
もちろん、高速の引き波に暴れすぎず、
引き重りがなく、
風を突き抜ける飛距離は狙い通りです。
その上でこの「泳ぎすぎないメリット」
が再発見されようとしているのはちょっとした誤算ではありました。
そしてこの発見は
ウォブリング崇拝というある種の思い込みに一石を投じることになるのか?
いずれにしてもSB/Sky passはヒット率が高いのです。
長崎のBFT、宇土選手、荒木選手、山形の本間選手らもSB/Sky passを使いこなしています。
仙台沖堤のシーバスエキスパート、BFT山田選手に至っては
「SB/Sky passをたくさん(拓さん)浮かべた風呂に入りたい」とまで言ってくれてます(笑)。
(入浴はユニットはずしてね!)
注: SB/Sky passは風呂で浮きますよ(笑)。
シンキングですが離脱後のボディーは浮きます。
もしラインブレイクされたときは海面に浮上しますから発見、回収できることがあります。
ボーグ山本