遊動フックルアー  ボーグ


ボーク゛とは・・

生身の体では凌げない厳しい気象、環境下で普通に動きつづけ

生身の力では届けられない遠方に弾頭を打ち込み

獲物を捕獲する


アングラーは能力を倍化された超生命体、サイボーグなのである。

サイボーグたちの文字通り一部となり共に次元の高みへと向かう遊動フックルアーを

ボーグと呼ぶ



ルアーとボーグルアーの違い


一言で言えば昆虫と動物の違いだろう。

ボーグは昆虫のように殻で支えるのではない

SMAという無限の関節で作られた脊椎が魚の全パワーを受け止め、アングラーの意思を伝える。

20世紀に生まれたルアーは21世紀、

動物のように脊椎を持った。



昆虫は殻で躯体を守り、殻で力を伝えた。

しかし殻のまま進化しようとする戦略にはいくつかの制限がついた。

殻は硬いため衝撃を吸収できず脊椎という柔軟な骨組みを持った動物のように大きくなれなかった。

また強い力をだせず、怪我からの回復も困難だった。

ボーグルアーの登場によりルアーにおいてもこれに似た進化の違いが生まれた。



遊動フックルアーとは

通常ルアー
魚を誘うボディーと、それを捕えるフック部とを同時に成型して作られるルアー。
遊動フックルアー (ボーグルアー)
離脱可能なフック部と、それと一体化するボディーとで形成される特許ルアー。
前後フックの連動により魚を捕獲する新しいメカニカルステージを内蔵し、これまでボディーに加えられていた取り込みの過剰な負荷をゼロにすることにより設計上のボディー強度の制限を取り除く。

ヒット後に完全に離脱するフック部によって取り込みの障害になりやすいボディーを魚体から遠ざけ、引き合いの力の一部を前後フックの閉じ圧に変換しながらターゲットを制御できるため高い捕獲率を発揮する。
また魚体へのダメージも軽減する。






付録


フラグシップモデルに見る誕生への軌跡



[ ファルコン128のルーツ ]


ボディー編


人が体一つで魚と向き合って行う釣りとして、ロックフィッシングが最も厳しい釣りと言えるだろう。
全く危険のない行為はつまらなく、人を虜にする趣味にはたいていスリリングな側面が含まれている。
そういう意味でも磯からのルアー釣りには魅力がある。
しかし、時として命が掛かってしまう場面があるのもこの釣り。
そこでは悔いの無い道具が欲しくなる。
1995年、遊動フックルアーのメカニズムを思いついた頃、私は欲しい機能を盛り込んだ、一本のルアーを作れないか模索していた。

営業的に考えれば売れ筋のリサーチに該当するものを当てはめてゆくのが得策だったかもしれない。
しかし、利益しか見ないやり方は磯ヒラ用ルアーという「特殊な武器」を作って行く際の原動力になり得なかった。
というのも日常をほぼ支配できるマネーが砂漠では時として一滴の水も買えない事があるように、現場は日常を超える価値観によって支配されていたからだ。
「磯ではこれが必要なんだ!」
という渇きにも似たモチベーションだけを閉じ込め、工房に持ち帰った。

ここでは現場との交信の経過をお伝えしたい。
ボーグ・ファルコンはこの特異な空間から街に析出した一つの回答である。

実践

あれこれ考え、試作と試験を繰り返すうちにたくさんの機能を盛り込む事が実はルアーの無駄な部分を削ぎ落としていく作業なのだと気づいた。

ファルコンはシーバス、中でも磯ヒラスズキを釣るために作ったルアー。
ここに至る経過では二つの異なるコンセプトで試作機を作り、それぞれを改良しながら、様々なポイントで通常ルアーと実釣比較し、どれが生き残って行くかを試してきた。
その判断の基準にはもちろん私の好みが混ざっていたかもしれない。
しかし、「好み」というものは即ち、快適さ、釣果、全ての美しさ、などなど、「訳のわからぬ良さ」によって形成されてゆくものと思う。
それらは根拠そのものであり、勤めて冷静に見つつも、「好み」は大切な判断基準と考える。

開発の過程ではそれぞれ、Type2、Type3と名づけられた試験機を作った。
Type1というバージョンもあったがいいところが無く、お蔵入りとした。

Type2は水流へのグリップを優先するコンセプトで試作。
肉厚で重いボディーにファット系躯体で浮力を与え、強引な遠投性とスローから中速域までの泳ぎを追求した。
Type3は空気抵抗の少ないスリムな軽いボディーに重めのウェイトを組み合わせ、高い応答性と飛距離を追求するコンセプトで試作した。
両機共に1995年に試作を開始、1998年にまずType3が生き残り、Type2は後発機として保存。
そして約3年に渡ってType3を集中的に強化してきた。
このようにして作られた現在のファルコンはType3から派生した最終バージョンだ。

[ Type3を優先した理由 ]

磯ではアタリを出す力が要求されるのはもちろんだがそれと共にアングラーの意思どおりに操作出来ないルアーは物理的に使えないという結論に達していた。
「ディープ系で釣れるとディープ、トップで出会うとトップがいい」となりがちだがそれは単独釣行の多い磯では早計と言える。
全てのシーバスは垂直方向への射程が広く、ルアーの泳層を気にされる方もいるがディープダイブでもサーフェイス系でも実は同じように釣れると考えられる。(ジギングは例外とする)

問題はそこにやる気のあるシーバスがいたかどうかであり、トップでも、ディープでも、ミドルでも、サーフェイスでも、どれでも来ていた可能性があり、それよりもどのルアーがそこで使えたかが大切になる。
多数のアングラーが並んでキャストする場合は違いが生じるかもしれないがただ、その場合でも正しい比較テストを実施する事は極めて困難だ。
全ての泳層を様々なポイントに当てはめた時、常にアタックできる位置に照準を合わせればよい。
それはトップ、または表層だ。
荒れた時を狙ってアタックを掛けることの多い磯ヒラスズキでは深くダイブさせる必要性はないといってよい。サラシの下に潜って見れば分かるが、かなり厚いサラシでも常に海面がブラインドされる事はない。上から見ると真っ白でも水中からは魚のシルエットがよく見える。
水底に潜むヒラスズキは間違いなくポイント全ての状況を把握していると考えてよい。
ルアーをロストすることなく、アングラーにとっても余分な重荷にならず、悪条件でもスムーズに操作できる位置、「表層」にチューニングを合わせるのが最も合理的と言えた。

フローティング・ミノーによる表層アタックを目指して進行したボーグ開発。
磯で優先されるべき機能は実釣の中でさらに特定されていった。
それは
「磯ではルアーをピックアップしたいときにただちにピックアップ出来ること。
ヒットの可能性のないゾーンは泳がせずに素早く回収出来ること。
そして泳がせたいゾーンではスローから高速まで確実に水を捉えること。」
だった。
一読して矛盾しやすい条件だと理解して頂けるだろう。
トップウォータープラグはこれらの条件をクリアーできるが、別カテゴリーで開発するためここでは除外した。

水へのグリップ力はいくらでも高めることはできる。しかし大きな波が迫っているのに張り付いたまま潜ろうとするルアーは使えなかった。
かといってあまりにピックアップしやすくするとルアーは泳げなくなってしまう。
遊動メカニズムの追い込みと共に「グリップ力」と「抜け」の兼ね合いをどう設定するかがテーマだった。

この微妙なせめぎ合いの中で柔らかい泳ぎを実現するため、ボディー形状は以下のコンセプトで作った。

1]リップを短く小さくする。

理由はリップを長くするとウォブリングの支点が振動軸から遠ざかるため相対的に尾部が持ち上がりルアーは潜ろうとする。つまり水をより掴むようになる。リップを長くするやり方(Type2もこれに該当)はボディーの肉厚を薄く出来ない場合に泳ぎを確保するため取られる事の多い手法でここでは除外した。
Type2が開発の経過で温存保留された理由はグリップが強すぎ、必要以上に深く潜りすぎるからだった。

Type2系(重量系ルアー)は躯体が重く、飛距離がでやすい。
しかし大きく重い躯体はロッドとのバランス設定がシビアなためキャスティングシステムを特化させる必要がある。

ファルコンの最遠投モデル/Sky-Pass21グラムは重量系ルアー用の硬質ロッドでも使える重さだ。
そしてミディアム系ロッドで飛ばせるルアーとしても最も飛ぶ重量、そして空力フォルムを持つ。
もちろん同じ重さのファット系ルアーよりもはるかに飛ぶ。
ファット系ルアーで食いが渋いときに/SKY-PASSまたは/Tung_Ironに交換するとより多くのバイトを引き出せる。スリム系ミノーのバイト誘発力が優れている事は好みを超えて異論の少ないところである。

そして現場での問題としてファット重量系ルアーでキャストトラブルを起こすと数千円もする高価なルアーを一瞬でロストしてしまうことがあげられる。
ファルコンの重量はなんとか止まってくれる重さ。
ポイントの活性が上がるほどアングラーのテンションは上がり、知らず知らずのうちにキャストミスする危険性が高まっているのだ。
特に、より遠くに飛ばそうと並んでキャストしている時は要注意。
飛距離が鍵になる攻略のばあい、重量系ルアーと同等の飛距離を出せる/SKY-PASSには現場での総合的ビハインドがある。
通常の飛距離で攻略できる場所なら/Ironの独壇場となる。
/Ironは抜群のヒット力を持っている。
先行者に叩かれた後ですら泳がせて見る価値がある(超大型の個体は上の若いもんの出来事を静観している、又は出遅れて(笑)一尾残っている場合がある)。

申し添えればビッグルアー=ビッグターゲットという考え方は平鱸には当てはまらない。
要はサラシに届き、かつサラシの下からターゲットが発見できるルアーサイズであればよい。
適切なプレゼンテーションがあれば70ミリでも90ミリでも180ミリでもどれでも来る。
70ミリや90ミリは飛ばしにくいから磯では選ばれないのだと考えればよい。

また大きなルアーには大きなフックがあるから有利という考え方もある。
それはボーグでも言えることである。
ボーグにはクリンチフッキングがあるために、前後フック間の距離をフックの大きさとみなせる。
ファルコンのフックは2号だが見方を変えると9センチもあるフックを装備していると考える事ができる。

また強度制限のないファルコンのボディーではウェイトルームを先端の限界まで広げることができたため横風に非常に強くなっている。現場ではこの耐横風性の違いは無視できない。
要は高速リトリーブができる表層ルアーを最も飛ばせるように設計し、それに遊動システムを組み込んだものがファルコンなのである。

少し横道にそれたが、リップを短くすると言っても最近よく見かけられる超シャロー系ミノーやリップレスミノーでは振動の支点が牽引点に極めて近い、あるいは重なっている事によりウォブリングを発生させにくく(ローリング主体になる)、また強い潮流に弾かれやすいためここでは採用しなかった。
止水域で綺麗に泳ぐシャロー系ミノーも水流が激変する磯では使えない事が多い。つまり強い潮流とはルアーにとっては高速リトリーブそのものであり、磯での早引き性能とは潮流への応答性という事になる。
さらに潮流が激変するポイントは岩の周囲や、浅い流れ場といった水深の少ない場所になり、Type2系もなんとか張り付くことが出来るのだが潜りすぎて底にいってしまう。そうなると下に入れないヒラスズキはルアーのテイルを吸い込むしかなくなりウォブリングの幅が大きいType2系ではバイトミスが多くなる。
従ってフロントフックを下から吸わせるためのクリアランスを安定して与える事のできるルアー、つまり表層を高速で泳げるType3系ルアーが適合する。

表層を泳ぐType3系ファルコンは実は深場でも絶大な威力を発揮する。
手前味噌で申し訳ないがそれはファルコンがスローでも綺麗に泳ぐからだと思われる。
スローリトリーブはシーバスルアーフィッシングの基本といってよく、これが出来ないシーバスルアーはない。
いや高速性能を捨ててスローだけで勝負しようという機種も多い。
ウォブリングとローリングのベストマッチングをハイスピード側から探っていたType3は非常に魅力溢れるスローに出会った。
ファルコンをスローで流すと水面を炸裂させ魚体を反転させながら押さえ込む劇的な表層ヒットが多発する。
また、大型のヒットが多いのも特徴。
トップウォーターヒットよりフッキングが安定し、かつトップに匹敵するファルコンの爆発的ヒットを体験すればきっと度肝を抜かれるに違いない。
このヒットはマルスズキ狙いの静かな河川内でも同じように表層で炸裂する。
セミフォークテイルの自在な反転力、遊泳力を持つ彼らシーバスにとってルアーの泳層が10センチであろうが1メートルであろうがそこへのアクセスに要される労力の差は、ほぼ、無いと思われる。

このように、強い流れの表層で泳ぎを安定させるために、やはり十分に水を掴む必要があった。
従って細く軽いボディーと必要にして最短のリップを組み合わせ、そこに重いウェイトを入れるのがベストだという結論に達した。
短いリップはキャスト時の飛行姿勢を安定させ、同時に空気抵抗を減らすためにも有効だった。

2]躯体をなるべく軽く、細くする。

ボディーの樹脂厚を薄く、軽く作ることはウォブリングを軽く、美しくする。
ごく薄ボディーのミノーが描くウォブリングの美しさとアタリへの誘引力は、ジグや重量系ミノーを含む他のどんなルアーをも超えて優れている。
そのボディーに、より小さいリップを付ける場合ボディーをさらに軽く作ることが絶対条件となる。
一本に集約される広い対応力を身に付ける事は結局、無駄な厚さと太さを削ぎ落とす事だった。
細く軽いものの方が外力、つまり、リップが伝えてくる「泳ぎなさい」という力に答えやすいからである。

よく言われているようにルアーは浮力がある方が良いと言える。
しかし浮力そのものが泳ぎを助けているのではない。
沈んで行くほど重いものには大きいリップが必要になり、水の質量を超えるものは水の中では動かしにくいということ。
浮くほど軽く作れば泳ぐだろう、という意味で浮力は大切だがあくまでも目安。
というのも水に沈むシンキングもしっかり泳ぐ。
シンキングの泳ぎがやや小さくなるのは重いだけでなくフローティング用のボディー(リップ)をそのまま使用しているから。
いずれにしても全体は重くても躯体そのものは軽い方がすべての泳ぎは良くなる。

以上の2点を追求しながらファルコンの基本ボディーを追い込んで行った。
リップやボディーの形状、大きさ、それらの組み合わせは無限にある。
これの答えを出す作業はかなり感覚的なものだった。
しかし、結果としてファルコンはいいボディー形状にたどり着いたと言える。

というのもファルコンは類まれな高速スイミング性と水平で柔らかいスローリトリーブとを両立させることが出来たから。
それは必要にして最短のリップがウォブリングの不調和ねじれ域を非常に小さくした事。
つまり泳ぎがほぼ水平に近づいた事。
また、重心以外の躯体を軽くしたためにスロースイミングを確保しながらウォブリングの振動限界を高めることが出来たから。
これを自動車に例えればより余計な重さを削り、空気を切り裂く形に車体をシェイプし、エンジン回転系の重さを軽く削ぐことでレッドゾーンを追い上げ、高速車を作ることに相当する。

しかしここで疑問が生じる。

それは「高速リトリーブができるということは水から飛び出さずにいつまでも張り付いているという事じゃないのか?」という疑問。
確かにファルコンは強い水流に張り付くことができる。
しかし、ファルコンは抜きたいときには抜ける。

それはファルコンが水平に近い姿勢で泳げるから。
ファルコンは基本的にシャローを安定して引けるルアーだが、その本質はアングラーが引く方向に素直に答えてくれるルアーだということ。
だから、東京湾ディズニーランド周りの高い堤防から高速で引くことは出来ない(中速までは可能)。
しかしそれはひっくり返りやすいルアーだという意味ではない。
高い位置から引かれたから高いほうに付いてきて素直に水から抜けたということ。
従ってロッド先端を水面に近づけて引けば水面直下を綺麗にそして高速で付いてくる、それがファルコン。

だからファルコンはロッド操作とリーリングによってピックアップとステディーなスイミングを自在に指示できる。

この高速性能はトゥイッチにもいい影響を授けた。
128ミリとやや長いボディーにも関わらずこれへのトゥイッチングは相当いい。

では、磯で高速リトリーブができるメリットとは何か?
それは強烈な水流の表層に美しいウォブリングを描くことができる事。
この場面もまた高速リトリーブが出来る表層ルアー、ファルコンの独壇場となる。
これを見せられ、とぼけていられるヒラスズキはほとんどいないだろう。

図らずもファルコンの遠投性と高速性能は
サーフからの青物狙いに適合。
ボートでのドラッキングでも快適な速度で広くアタリを探ってゆけることに通じた。
クリンチフッキングの鉤爪と共に鳥類最速を誇る猛禽類「隼、ファルコン」の名を冠した理由もこれ。

クリンチフッキング機能と共に、これらアングラーの操作に対する高い応答性との総合力こそがシーズン最多74本の平鱸ランディングを成し遂げたファルコンの本当の性能である。
アングラーの思い通りに操作できるルアーでなければ、そもそも、磯では釣行を続けて行く気持ちになれないものだ。初めて磯に立たれるアングラーはルアーの選択に失敗すればそれがもとで磯という黄金のフィールドを見放すことにもなりかねないだろう。

これらの機能は遊動メカが強い力の掛かるフックを支えなくて済むようにボディーを開放した事によって授けられた。
それにより、ごく薄の軽いボディーを実現でき、軽量化した分だけ重いウェイトを入れることが出来た。

細身で空力抵抗の少ないボディーは同じ重量の他のルアーよりも遠くに飛ぶ。

もちろん通常ルアーでも薄く軽く作れば同じような泳ぎが得られる。
しかし大型をランディングしたり根掛かりさせればルアー全体が破壊され二度と使えなくなってしまうだけでなく肝心な時にターゲットを逃がしてしまう恐れが出てくる。現に私は比較テストの最中にある通常ルアーで大型平鱸を掛け、引き合っている最中に尾部の8の字ピトンが破壊されてブレイクしたことがあった。
非常に残念だったことを覚えている。
磯の取り込みではシステムに通常考えられないような大きな力が掛かる。
それに耐える強度を極薄ボディーに与える事は不可能ではないにしても無理があり、やはりボーグの構造に分があると言うしかない。



グリップを優先するルアーでは潜る姿勢を引き寄せる仕組みでグリップを稼ぐため尾部が立ち上がりやすく、不調和域(ねじれ交差)が生じやすい。
この姿勢で泳ぐルアーは根掛かりロストしやすいだけでなく、ピックアップ退避が遅れるため磯では危なくて使いにくいと言える。
しかし港湾部等これが適する場所もあり、またナイロンラインを使用するアングラーに対してもウォブリングの感触が伝わりやすいという特性もあり、現在Type2系ボーグとしてホークというカテゴリーを開発している。



磯でのアングラーは意識の大半を、刻々と変化する周辺状況に向けていなければならない。
その中で求められる性能は厳しい。

1]確かなフッキングを得るために安定した泳ぎでフックの動きを安定させ、さらに本気でバイトさせなければならない。

2]スレた個体でもバイトに持ち込める泳ぎが必要。

3]掛けた後も、エラ洗いで飛ばされない仕組みが要される(クリンチフッキング・システムで対応)。

4]さらにフッキングを持続出来なければ取り込みのチャンスが失われる(離脱メカニズムとクリンチフッキング・システムで対応)。

5]前に述べたようにルアーは素早くピックアップ出来なければならない。

6]荒れたノーヒットゾーンがあれば、そこはなるべく表層、できれば水面上を通過させなければならない。

ボーグ第一弾、ファルコンはこれらの要求をほぼ満たしたと思う。
その他にもファルコンの使用で得られるメリットは多い。

1]前後のフックを同時にリフレッシュでき、釣果が上がる(予備フックユニットが必要)。

2]ボディーが破損しても、フックユニットが破損しても、残ったパーツを再び他のファルコンと組み合わせて使用できる。

3]飲み込まれたフックを外しやすく個体に余分なダメージを与えない。
これは、ボディーが離れているため、ニッパーを楽に操作できるから。

4]タックルボックス内で数本のフックユニットを独立して仕切り、ボディーを別にまとめて収納すると針絡みがなくなりコンパクトで素早い釣行が出来る。ボディーはタックルボックス以外の場所(チャック付ポケットでも可能)にも収納できる。

5]根掛かりした時にフックユニットの離脱が引き金になって回収できる場面がかなりある。この場合フックユニットにダメージが残ることはあるがボディーはほとんど再使用でき無駄なロストが抑えられる。

6]針が錆び落ちてもフックユニットは残り、ほぼ半永久的に使用できる。

これらの多くの機能を使いこなすには多数のルアーを携行する必要がある。
しかしそれらを現場で的確に使い分け、瞬間にチェンジしながら釣行することは不可能。
私がファルコンに多くの機能を要求したのは瞬間のヒットチャンスを掴む必要のある磯という現場では一本のそして最高のルアーで勝負してゆかねばならないと分かっていたから。

チャンスはいつ来るか分からずそのベストタイミングにベストルアーを当ててゆくにはルアーチェンジにブレない、信頼できる一本が必要だからである。

その信頼感こそがノーヒットを越えさせることができるからである。

そして最高のルアーなら頻繁に叩かれているポイントでチャンスを引き出せる可能性が生まれる。
ファルコン128SB/Ironコットンキャンディーが房総で世界記録を達成したシーンがまさにその状況だったと聞く。
最高のルアーは狡猾なビッグターゲットをも魅了する。
ランカーを連れてくる。



話はそれるがハンガリーの作家アーサー・ケストラーが著書ホロン革命の中でこんな一節を書いていたように記憶している。

「全体は部分の集合より大なり」。

一例として人の体の仕組みに当てはめてみよう・・・。

「細胞や器官の働きはそれぞれに限定されていて、それらを個別に生かしても何も起こらないが人体として結集させれば命が生まれ、意識や思考や人生が生じ、それらはさらに大きな全体、家族、そして社会へとつながってゆく」

最高機能を結集したボーグルアーによって、たくさんのルアーを付け替えてゆく釣行とは異る新しいエンターティンメントが生まれた。

アングラーの皆さんにはターゲットを探しながら危険を回避するという「フィールドとの対話」に集中して欲しい。

どれだけのルアーを携行しようともロッドに結べるルアーは一発である。

ヒラスズキと向き合う時、ボーグルアーの存在はアングラーと一体となり意識から消える。

タックルを無意識の配下に従えたアングラーはサイボーグとさえ見なせるだろう。

そんな時アングラーは最高の能力を発揮し、ふと我に返ると素晴らしいターゲットを抱きとめている。

ルアーの操作やその存在が気になるとすれば、それはどこかが欠けているのである。

ボーグルアーとは最高の戦士と一体化しフィールドに飛翔する弾頭の愛称である。


まずファルコンにはこんなルーツがあることを知っておいて頂ければ現場で何かの役に立つかもしれない。

ユニット開発編は次の機会にお伝えしたい。


有限会社オプセル  山本